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ドイツパンについて

執筆者の写真: 四方 康行四方 康行

更新日:2021年9月20日


ビール、ワインと来ると次はパンである。ドイツのパンは種類が豊富であり、3000種以上ある。パン(Brot)とは何か。ガイドライン(Leitsätze)であるLeitsätze für Brot und Kleingebäck  Neufassung vom 01.04.2021 (BAnz AT 06.05.2021 B2, GMBl 29/2021 S. 654-659)には、次のように定義されている。

「このガイドラインの意味でのパンは、通常、穀物および/または穀物製品を原材料とし、水または含水液体ならびに他の食品を加えた後、生地を捏ね、形作り、ほぐし、焼き、または成型することによって作られる食品です。パンへの脂肪と砂糖の添加は、穀物の含有量比で、合計10パーセント以下に定められている。」

(Brot im Sinne dieser Leitsätze ist ein Lebensmittel, das auf der Basis von Getreide und/oder Getreideerzeugnissen nach Zugabe von Wasser oder wasserhaltigen Flüssigkeiten sowie von anderen Lebensmitteln in der Regel durch Kneten, Formen, Lockern und Backen oder Kochextrudieren des Brotteiges hergestellt wird.)

パンは食文化の中心でもある。2013年に日本の和食が「日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されたように、ドイツのパンは2014年に無形文化遺産に登録された。

「約3200種の登録されたパンをギルドのパン職人は作ってきた。ドイツのパン文化は2014年に国のユネスコ委員会によって無形文化遺産に登録された。」

(Mit ca. 3.200 eingetragenen Brotsorten haben Innungsbäcker es geschafft: Die Deutsche Brotkultur wurde durch die nationale UNESCO-Kommission im Jahr 2014 in das Bundesweite Verzeichnis des immateriellen Kulturerbes aufgenommen.)― Deutsches Brotinstitut e. V.ホームページより―


ドイツではパンは朝食か夕食においてジャムやハム・ソーセージ、チーズなどを、はさんだりのせたりして食べる。調理しないので、冷たい食事(Kaltes Essen/カルテスエッセン)という。通常、昼食には調理した温かい食事(Warmes Essen/ヴァルメスエッセン)をとる。最近の拙著、やまねよしみ・四方康行『掌編集 てのひらの愛Ⅱ』(風詠社、2021年2月)の「ビールは注ぐな」において、30年以上前のミュンヘン工科大学留学中の話で次のように書いた。「学食は、日本人から見れば全ておかずとデザート。ご飯もパンもない。パンがないのは意外だが、昼は温かい食事が通常で、パンは朝食か夕飯かまたは軽食で冷たい食事として、チーズやソーセージなどと一緒に食べるのがドイツの食文化である。たまに米を食べたいと思えば、中華料理店に行った。そこでの米は、パサパサの長粒種。ドイツ人は、味がないので米だけを別には食べられず、丼にして食べる。私はもちろん、ご飯におかずとして食べた。」(p.76-77)。

朝食と夕食は簡単に済ませ、昼食がメインで調理した温かい食事というのは、ドイツの文化が背景にあるという説明がなされる。つまり、日本と比較すると、日本は勤務先と自宅が離れていて、通勤に1時間を超えるのも珍しくないが、ドイツは職住が接近していて、昼食に家に帰って家族と一緒に食べるというのを大学の教員で見た。その際に小さな子供がいたら幼稚園に迎えに行き、連れて帰るのである。主婦(Hausfrau:ハウスフラウ)も立派な職業と言われるゆえんである。

確かに学食(Mensa:メンザ)や従業員食堂(Kantine:カンティーネ)があることから、みんなが家に帰って食べるというのではないが、通勤距離の差が日独の違いに表れている。次に、夕食を簡単に済ませるのは、例えば、夕食後オペラ鑑賞などに出かけけるのに都合が良く、それだけ、優雅な生活を営んでいるという説明も読んだことがあるが、確証はない。また、歴史的には、夕食後も農業を行うのには、軽めの食事がちょうどよかったというのも、何かの本に書いてあったのが印象に残っているが、それも今となっては調べようがない。いずれにせよ日独で食文化が異なるのは興味深い。

写真はドイツ国境近くのフランス内Straßburg(シュトラスブルク、フランス語・英語でストラスブールStrasbourg )にて撮影(2015年8月22日)。中央にドイツパンのブレッツェル(Brezel: ブレーツェル)がある。

(記事未完成)



 
 
 

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